ArticlePDF Available

Abstract

The Expert Committee on Promotion of RI Utilization, Science and Engineering/Life Science Committee, Japan Radioisotope Association, conducted a survey of domestic users’ attitudes toward radioisotopes (RIs) in the fiscal year 2021. This paper reports the results of the survey, analyzes the results, and discusses the future promotion of RI utilization in Japan.
© 2024 Japan Radioisotope Association
RADIOISOTOPES, 73, 147–1592024
資料
2021 年度 RI 利用者アンケート調査報告書
(公社)日本アイソトープ協会理工・ライフサイエンス部会 RI 利用推進専門委員会
日本アイソトープ協会理工・ライフサイエンス部会 RI 利用推進専門委員会は,利用者の意識調
査及び今後の RI 製造者との橋渡しに向けた基礎調査を目的とし,2021 年度に RI 利用者アンケー
ト調査を実施し,164 名から回答を得た。本資料では,各専門分野における使用核種や量,また今
後使用したい核種などの調査結果をまとめ,今後の RI 利用推進に向けた考察を述べた。
Key Words: radioisotope (RI), user survey of radioisotopes, promotion of RI use, RI application, RI produc-
tion
1. はじめに
日本アイソトープ協会理工・ライフサイエン
ス部会 RI 利用推進専門委員会では,科学・技
術における幅広い分野でのラジオアイソトー
プ( RI利用の普及促進を目指し,一般に流通
可能な RI のみならず,国内の研究所・大学等
の施設で製造可能な RI の利用拡大に向けた取
り組みを進めている。この活動の一環として,
国内外における研究用 RI の利用状況を把握す
るため,2019 年度に国内外における RI 製造・
利用調査を行った1
。本調査によって,現在
RI 利用の動向が明らかになり,今後の RI
用推進に向け,RI の国産化・供給体制の整備,
RI 取扱施設・設備の強化,科学的知見に基づ
く合理的な RI 規制等,今後解決すべき課題が
指摘された。
本委員会では,次のステップとしてRI
造・利用調査で抽出した RI について利用者の
意識調査及び今後の RI 製造者との橋渡しに
向けた基礎調査を目的として,RI 利用者アン
ケート調査を実施した。本資料ではその結果を
紹介するとともに,今後の我が国の RI 利用推
進に向けた考察をまとめた。
2. アンケート内容
本調査は,2022 224 日から322 日ま
で,ウェブ回答,無記名方式で実施した。アン
ケートの依頼先は,日本アイソトープ協会会
員,アイソトープ・放射線研究発表会に参画す
66 団体,日本アイソトープ協会医学・薬学
部会,放射線安全取扱部会ならびに理工・ライ
フサイエンス部会とした。
本アンケートでは,まず,回答者の所属(質
doi: 10.3769/radioisotopes.73.147
# 委員長 
山田 崇裕 近畿大学原子力研究所
委 員 
小林奈通子 東京大学大学院農学生命科学研究科
永津弘太郎  量子科学技術研究開発機構量子生
命・医学部門量子医科学研究所 
羽場 宏光  理化学研究所仁科加速器科学研究セ
ンター
福田 光宏  大阪大学核物理研究センター
間賀田泰寛  浜松医科大学光尖端医学教育研究セ
ンター
鷲山 幸信  福島県立医科大学先端臨床研究セン
ター
渡辺 茂樹  量子科学技術研究開発機構高崎量子
応用研究所
渡部 浩司  東北大学サイクロトロン・ラジオア
イソトープセンター
© Japan Radioisotope Association 2024.
This is an open access article distributed under the Creative
Commons Attribution 4.0 International (CC BY 4.0) License
(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)
148 Vol. 73, No. 2
RADIOISOTOPES
1-1「大学」「研究所」「企業」「学生」「そ
の他」から選択)と専門(質問1-2「物理学」
「化学」「農学」「医学・薬学」「工学」「環
境科学」「その他」の項目から複数選択可)
問い合わせた。続いて,2019 年度 RI 製造・利
用調査報告書1
で取り上げられた45 核種(文
1 Table 2 参照)に加え,回答者の関心があ
る任意の核種について意見を述べられるように
し,質問項目は以下の通りとした。
質問 2-2 使用状況(以下から選択)
・自施設にて使用している(質問 2-4 へ)
・外部施設にて使用している(質問 2-4 へ)
・自施設・他施設の両方で使用している(設
2-4 へ)
・使用したいが,現状使用することができな
(質問 2-3 へ)
・その他(自由記入)
質問2-3 質問2-2 にて「使用したいが,現状使
用することができない」を選択した理由(複数
選択可能)
・自施設に使用の許認可がない
・使用の許認可はあるが,使用量の制限によ
り使用できない
・試薬の入手方法が分からない
・試薬が高額で購入できない
・取扱方法に不安がある/分からない
・その他(自由記入)
質問 2-4 使用している/希望する放射能量
3.7 MBq 程度
37 MBq 程度
370 MBq 程度
・その他(自由記入)
質問2-5 使用している/希望する形態(複数
選択可能)
・密封線源
・非密封線源
・密封線源・非密封線源の両方
・下限数量以下の RI
質問 2-6 使用している/希望する頻度
・週に 1回程度
・月に 1回〜数回程度
・年に 1回〜数回程度
・その他(自由記入)
アンケートの最後には,自由記述欄を設定
し,本アンケート,2019 年度 RI 製造・利用調
査報告書1
,今後の本委員会の活動,日本アイ
ソトープ協会にて販売している核種への要望等
について意見を収集した。
3. アンケート結果の概要
1 回答者の属性(質問 1-1
今回のアンケート調査では,164 名から回答
を集めることができた。回答者の所属は,大
65%,研究所24%,企業6%,学生1%,そ
の他4%であった。回答者の専門分野の割合
Fig. 1 に示す。医学・薬学32.6が最も
多く,化学21.1,物理学14.2%),工学
12.8,農学6.0,環境科学5.5%)が
続いた。その他7.8の内訳は,生物学が
Fig. 1 Percentage of the respondentsʼ research fields
(Color online).
149Jul. (公社)日本アイソトープ協会理工・他:2021 年度 RI 利用者アンケート調査報告書
Table 1 List of radioisotopes of interest in this survey
150 Vol. 73, No. 2
RADIOISOTOPES
4.6%,他分野(分析科学,放射線管理学,診療
放射線技術科学,地球惑星科学,宇宙地球化学
等)は各 1%未満であった。
2 関心のある RI(質問 1-2
今回のアンケート調査で関心が寄せられた
64 核種を,全研究分野の合計件数の多い順に
Table 1 に示す。「物理学」「化学」「農学」「医
学・薬学」「工学」「その他」の分野ごとの件
数も同表に示した。全分野の件数が各分野の件
数の合計と一致しない理由は,回答者が複数の
研究分野を選択しているためである2019
RI 製造・利用調査報告書1
で抽出した45
RI のうち,37 種について関心が寄せられた。
これ以外に,回答者から3H32P14C60Co
35S90Sr90Y125I252Cf 等,27 種の RITable
1*印)についても関心が寄せられた。
今回の調査で関心が寄せられた64 種の RI
うち11 核種は,10 件以上の関心を集めた。中
でも20 件以上の高い関心を集めた上位 3核種
211At137Cs 及び 225Ac であった。近年,211At
及び225Ac α線核医学治療での利用が期待さ
れており,国内外で臨床応用に向けた研究が
進んでいる2
。これらに引き続き関心が多かっ
た核種は
99Mo/99mTc22Na123I111 In3H
64Cu177Lu68Ge/68Ga と続き,137Cs22Na 及び
3Hを除いた8核種は,PETSPECT 診断また
は核医学治療用であった。これは RI の代表的
な利用が,医学・薬学分野であることを反映し
た結果と言えよう。
3 RI の使用状況(質問 2-2
今回のアンケート調査では,関心のある RI
について,回答者の現在の使用状況を問い合わ
た( Fig. 2 参照)「自施設」「外部施設」「自
施設・外施設の両方」で現在使用できている件
数が,それぞれ179 件( 53.0 ), 26 件( 7.7 ),
9件( 2.7%)であったことに対し,「使用したい
が,現状使用することができない」件数も96
28.4%)と,約 3割の回答者が使用したいが現
在使用できていないという状況であることがわ
かり,一定の潜在ニーズがあることが窺えた。
4 RI 使用の制限(質問 2-3
現状使用できない RI で上位に挙げられた
は,225Ac12 ), 211 At10 ), 68Ge/68Ga9
), 177Lu6 ), 3H5 ), 67Cu5件)であっ
た。その主な理由は,225Ac 211At については,
「自施設に使用の許認可がない」または「試薬の
入手方法が分からない」ためであった。3H
67Cu については,「自施設に使用の許認可がな
い」が理由であった。68Ge/68Ga については,「自
施設に使用の許認可がない」と同件数で,「試薬
が高額で購入できない」という理由であった。
RI を使用できない理由として,「試薬の入
手方法が分からない」または「入手手段がな
い」という回答が21 件あった。その内訳は
先に述べた211At 225Ac がそれぞれ4件で最
も多く,他は,44m,gSc62Zn/62Cu64Cu67Cu
68Ge/68Ga68Ga85Kr99Mo/99mTc177Lu
177mLu211Rn/211 At212Pb224Ra であり一部市
販品として入手できるものも含まれていた。参
考までに,今回のアンケートで関心が寄せら
れた64 種の RI のうち35 種( Table 1** 印)
については,日本アイソトープ協会で取り扱
いがある 3
。一方,18F28Mg42K43K57Co
64Cu67Cu90Y88Zr89Zr99Mo124I177Lu
175Hf211At は,短寿命 RI 供給プラットフォー
ム事業4
により供給されている。
「関心があるが許認可がない」と回答があっ
Fig. 2 Current use of radioisotopes of interest (Color
online).
151Jul. (公社)日本アイソトープ協会理工・他:2021 年度 RI 利用者アンケート調査報告書
た代表的な核種は211At9 ), 225Ac8 ),
68Ge/68Ga7 ), 67Cu4 ), 64Cu3 ), 177Lu
3 ), 68Ga3件)であった。外部施設で使用
できている RI としては,211At3 ), 225Ac2
), 175Hf2 ), 177Lu2 ), 229Th2 )で
あった2019 年度RI 製造・利用調査1にお
いて既に指摘されているが,新たな RI 利用の
ニーズに対してRI 取扱施設・設備の強化
変更申請プロセスの迅速化や共同利用拠点の整
備が望まれる。
その他の理由として,「試薬が高額で使用で
きない」場合が22 件報告されている。その筆
頭が
68Ge/68Ga7 )で,177Lu4 ), 64Cu2
), 89Zr2 ), 225Ac2件)がこれに続く。RI
の国産化,製造技術の高度化による価格の低減
化も重要な課題であろう。RI の取り扱い方法
に不安がある/分からない」という回答は211At
3件)を筆頭に,合計12 件あった。実際の RI
利用につなげる教育,相談等の機会提供の重
要性も無視できず,短寿命 RI 供給プラット
フォーム4
が定期的に開催する RI 技術講習会
は,新規 RI 利用者の開拓や安全取り扱いにお
いて重要な取り組みと言えよう。
5 必要な RI の放射能と頻度(質問 2-4, 6
今回のアンケート調査で関心があった代表
的な RI であった211At137Cs 225Ac について,
希望する放射能と頻度のグラフを Fig. 3 に示
す。α線核医学治療に主に用いられる211At につ
いては,3.7 MBq」か ら「 370 MBqまで,同程
度の利用希望がある。一方,225Ac については,
Fig. 3 Required radioactivities and frequencies of (a) 211At, (b) 137Cs, and (c) 225Ac (Color online).
152 Vol. 73, No. 2
RADIOISOTOPES
大多数が3.7 MBqまたは37 MBqの利用を
希望した。137Cs については,大半が3.7 MBq
の少量を希望している。一方,頻度について
は,211At 「月に1〜数回程度」
225Ac
137Cs が,「年に1回〜数回程度」の利用希望で
あった。当然,核種の半減期が短いほど1回の
供給で必要な放射能は大きく,また頻度が増え
る傾向がある。
6 必要な RI の形態(質問 2-5
使用の形態として「密封線源」としての
利用を希望する割合が過半数を超えた核種
は,57Co252Cf60Co90Sr137Cs 並びに
22Na
であった。一方「下限数量以下」での使用
の希望があった代表的な RI は,137Cs3 ),
99Mo/99mTc2 ), 211At2件)であったが,ど
RI も密封線源や非密封線源を含めた全体の
1割程度以下であった。
4. 専門分野別考察
41 物理学
物理学を専門とする 31 名から,延べ 45 RI
について回答が寄せられた。この内,物理学
分野のみを選択したのが11 で,8核種,延
14 件の使用に関わる回答であったのに対
し,物理学と工学の2分野に関わって回答した
方が最も多く11 名で10 核種,延べ16 件,
理学・化学が3名で2核種,3件,物理学・医
・薬学が2名で7 種,7,物理学・化
学・環境科学が1名で2種,2,物理学・
化学・工学が1名で1核種,1件,物理学・化
学・農学・医学・薬学・工学が1名で1 種,
1件,物理学と材料科学を選んだのが1名で1
件と,複数の分野にまたがった RI 利用が物理
学全体の約3分の2にも上る。回答者の所属別
で見ると,大学の研究者が15 名,研究所が14
名,企業が2名という内訳であり,物理学自体
が基礎研究を主体とする分野だけに大学・研究
機関での利用に偏った回答が大半だといえる。
物理学の RI 利用として挙げられた RI 18
あり,最も多かったのが22Na 8,次いで
137Cs 7件,211At 6件と続き,他に60Co3
), 99Mo/99mTc2 ), 252Cf2 ), 3H2件)
等が複数の利用者から回答が寄せられた。得ら
れた回答の範囲内では,特定の RI が特定の分
野に偏って利用されているといった傾向は見ら
れず,物理学分野のみで使用されている特別
RI もなかった。むしろ,同じ RI が複数の分
野で広く利用されているのが特徴的である。RI
によって密封線源か非密封線源かの利用形態
がほぼ決まっているものの,22Na99Mo/99mTc
239Pu3H131Iは密封と非密封の二通りの形態
で利用されているのが多いようである。利用場
所は,「自施設における使用」が大半であるが,
「使用したいが現状使用することができない」
という回答が5件あり,その理由として「試薬
が高額で購入できない」1件)「取扱方法に不
安がある/分からない」2件)「自施設で使用
の許認可がない」1件)あるいは「使用の許認
可はあるが,使用量の制限により使用できな
」( 1 ),「 JCSS 校正された線源を使用した
いが存在しない」1件)「アイソトープ協会
RI 集荷してもらえるかわからないため」1
件)「試薬の入手方法が分からない」1 )と
いった諸事情が挙げられた。使用数量が最も多
いのは短半減期の211At(半減期 7.214 時間)で,
370 MBq あるいは1 GBq 以上といった回答が目
立っていた。比較的長半減期ながらも370 MBq
程度の数量が必要とされている核種は,60Co
137Cs3H239Pu ,他にも短半減期の212Pb
(半減期10.64 時間)が挙げられていた。これら
以外の利用の多くは3.7 MBq 37 MBq 程度の
比較的少ない使用数量である。使用頻度は,週
1回程度が10 件,月に1〜数回程度が 14 件,
年に 1〜数回程度が 15 件で,大きな偏りは見ら
れなかったものの,強いて言えば RI 毎に少し
頻度の違いが見られるようで,例えば211At
月に 1〜数回程度が多く,22Na は週に1回程度,
137Cs は年に1〜数回程度が若干多いという結果
であった。このことから,半減期の長い核種は
1年を通じて間隔を空けて入手,使用している
153Jul. (公社)日本アイソトープ協会理工・他:2021 年度 RI 利用者アンケート調査報告書
のに対し,短半減期の核種は比較的短い周期で
集中して利用しているような印象を受ける。
42 化学
化学分野では,件数順に211At11 ), 225Ac
8 ), 137Cs10 件)の関心が高く,これは
Table 1 Fig. 4 に示した全体の傾向に一致す
る。化学分野は,物理学,医学・薬学,環境科
学,工学,農学等の他分野と密接に関係する
実際,化学を専門分野として回答した46 名の
うち,12 名( 26%)は医学・薬学分野を7
15%)は環境科学を,6名( 13%)は物理学を
併せて専門としていた。このため,本集計結果
は,化学のみではなく医学・薬学や環境科学
等,他分野にも属する回答者の意見も反映した
ものと捉える必要がある。
211At 225Ac は近年,α線核医学治療の研究
で世界的に需要が高まっているα核種である。
治療薬の開発を進めていくためには,薬剤の原
料となる2 11At 225Ac が必須である。211At は,
通常サイクロトロン等の加速器を用いて加速し
α粒子を209Bi 標的に照射し,209Biα,2n
211At
反応によって製造される。211At を医学・薬学
分野で利用するためには,高純度の211At が必
要である。照射後の試料には211At のほか,未
反応の標的物質や副反応で生成した不純物核種
が含まれるため,これらから211At を化学分離
する手法を開発する必要がある。またAt
同位体は最も長寿命の210At でも半減期が 8.1
間であり,トレーサ量でしか化学実験に用いる
ことができない。分光学的な化学分析が困難
であり,At の化学的性質については未知な点
が多い5
。このような背景から,At の化学研究
211At が利用されている。本調査では3
と数は少ないが,211Rn/211At に関心が寄せられ
ている。211At の親核種である211Rn は,加速器
を用いて208Pb7Li,4n
211Rn 反応で製造でき,そ
の半減期14.6 時間)211 At よりも長いこと
から,211 At を加速器がない遠隔地に運搬して
利用するための211Rn/211 At ジェネレータとして
期待される。一方225Ac については,親核種
229Th3件)からミルキングして製造する手法
の他,加速器を用いた226Rap,2n
225Ac226Ra
γ,n
225Ra225Ac232Thp,xnyp
225Ac 反応,原
子炉中性子を用いた226Ran,2n
225Ra225Ac 等,
様々な製造法が検討されている。これらの製
造法の検討に225Ac 229Th が利用される。その
他,件数はわずか1件であるが,α線核医学治
療に期待される RI として,223Ra224Ra213Bi
212Pb227Th に関心が寄せられた。
137Cs10 ), 134Cs1 ), 85Sr2 ), 90Sr1
), 131I1件)は,化学と環境科学を専門とす
Fig. 4 Radioisotopes of interest in agriculture.
154 Vol. 73, No. 2
RADIOISOTOPES
る回答者から関心が寄せられた。これらの RI
は,東京電力福島第一原子力発電所の事故で環
境中に放出された137Cs134Cs90Sr131Iにつ
いて,実験室内で Cs, Sr Iの環境動態の解明
や除染技術開発のためのトレーサとして利用さ
れていると考えられる。
回答件数が3件以下の RI については,偏っ
た考察になることは避けられないが,回答者の
専門分野を手掛かりに以下のように考察した。
64Cu3 ), 68Ge/68Ga3 ), 68Ga3 ), 77Br
3 ), 76Br2 ), 43Sc1 ), 44m,gSc1 ),
89Zr1件)ならびに124I1件)は,いずれも陽
電子放出核種であり,次世代の PET プローブ
に期待される。一方99Mo/99mTc2 )と 123I
2 )は SPECT 核種である。177Lu2 )は
β線核医学治療用核種,47Sc2 )と 67Cu3件)
は,SPECT 診断とβ線核医学治療が可能なセラ
ノスティクス核種である。これらの診断・治療
用の RI は,RI 製造法の開発や RI 標識薬剤の
合成研究に利用されていると推察される。
236gNp2件)は,加速器質量分析法による環
境中の237Np 分析において,収率トレーサとし
てのニーズがある。
88Zr2 )と 175Hf1件)は,超重元素104
番元素ラザホージウムRfの同族元素にあた
る。Rf の化学実験に向け,Rf 模擬した化学分
析装置の開発や同族間で比較する化学データ
の取得に利用されている。同様に,102 番元素
ノーベリウムNoの化学実験に向けて,擬同
族元素133m,gBa1件)が利用される。また,地
球化学分野では,物理化学的性質が類似してい
Zr Hf の海水-鉄マンガンクラスト間分別
挙動の研究に 88Zr 175Hf が利用される。
化学と農学を専門とする回答者から,アルカ
リ金属元素である22Na2 ), 42K1 ), 43K
1件)に関心が寄せられた。137Cs10 件)とと
もにいずれも農学分野の研究に不可欠な RI
ある。22Na については,化学・農学ではなく,
化学・物理学を専門とする回答者からの関心が
1件あった。
3H2 ), 14C2 ), 57Co1 ), 63Ni1 ),
85Kr1 ), 99Tc1 ), 166m,gHo1件)は,化学
のみを専門とする回答者からの回答であった。
3H14Cは,有機化合物の合成研究において,
トレーサとして利用される。57Co は,57Fe メス
バウア分光による Fe 原子の物性研究に必須の
RI 線源である。63Ni は,ガスクロマトグラフ
電子捕獲検出器ECD検出器としての利用が
考えられる。85Kr ,漏洩検出器や気流測定,
厚さ計の線源としての利用が考えられる。長寿
命の99Tc は,Tc の錯体化学の研究で必須の RI
である。166m,gHo は,β線核医学治療への利用が
考えられるが,化学のみの用途は,収集した情
報から推測することは困難であった。
59Fe1 )と 51Cr1件)に関心を示した回答
者の専門は,化学と診療放射線技術科学であっ
た。一方,239Pu1件)は,化学の他,物理学と
環境科学を専門とする回答者の回答であった。
32P1件)の回答があったが,化学の他,農学,
医学・薬学,工学の専門であった。これらの
RI については,今回収集した情報から用途を
推測することは困難であった。
43 農学
農学分野においては,137Cs5件)の使用希望
が最も多い結果となった。137Cs は植物や土壌
等における汚染物質として研究対象になること
が多い。東京電力福島第一原子力発電所の事故
によって国内でも問題となった放射性セシウム
による農業環境の放射能汚染に関連する植物
学,土壌学,林学,あるいは畜産等様々な分野
における使用希望があると考えられる。この場
合,トレーサとしての使用が想定されるが,非
密封137Cs の使用許可の有無がハードルとなっ
ている状況が窺える。137Cs に続いて回答の多
かった22Na4件)は,植物学での使用が多い核
種である。世界中で拡大している塩害土壌は作
物生産の維持において重大なリスクであり,塩
害の主な原因となる過剰なナトリウムイオンへ
の高い耐性の付与は作物の品種改良のターゲッ
155Jul. (公社)日本アイソトープ協会理工・他:2021 年度 RI 利用者アンケート調査報告書
トの一つである。22Na は,ナトリウムイオンへ
の植物の対応を解析するための有効な実験ツー
ルとして,国内外問わず多くの使用が見られ
る。短寿命核種である43K2 ), 28Mg1 ),
及び64Cu3件)は入手が極めて難しかったが,
短寿命 RI 供給プラットフォーム4
を通じて計
画的に供給を受けることが可能になった。その
他,65Zn 等は日本アイソトープ協会を通じて購
入することができる3
。カリウムとマグネシウ
ムは生物における必須多量元素であり,銅や亜
鉛は必須微量元素であることから,今後,これ
らの短寿命核種を用いた元素動態の解析等幅広
い分野における使用希望が見込まれる。32P
14Cは,従来核酸や代謝産物等の標識化合物が
広く利用されているが,近年は蛍光標識等によ
る代用が進み漸減している。しかしながら,例
えば作物によるリン利用効率や光合成の向上
等,農業上重要な諸課題に関わる研究において
は継続的な需要が見込まれる。また,今回複数
回答があった64Cu は,PET での利用を目的と
して開発され,現在では核医学治療での国内第
I相治験が行われている医学・薬学研究におい
て盛んに利用されてきた金属核種である。その
ほかにも PET での利用が期待される124I1件)
や,SPECT で長年利用されてきた99mTc1件)
等の RI を希望する回答もあり,医学・薬学分
野での研究が進む RI を植物学や獣医・畜産学
でも使用する流れが考えられる。
農学分野における関心のある RI は,Na, K,
Cs 等アルカリ金属元素核種を中心として,遷
移金属元素やハロゲン等の核種にも広がってい
ることが確認された。これには短寿命 RI 供給
プラットフォーム等による供給体制の確立によ
り入手可能な核種が増えただけでなく,非破壊
の手法による RI イメージング技術を用いた成
果発信等も寄与していると考えられる。今後,
RI 供給体制やイメージング技術の発展等によ
りこれらの RI の更なる利用が期待できる。
44 医学・薬学
本分野は RI 利用の代表例となっており,そ
の傾向を裏付けるように,関心のある RI の利
用分野で71 名( 32.6%)と最上位を示した。多
種多様な放射性薬剤・標識化合物が利用される
と共に,創薬研究により常に新規標識化合物が
開発され続けていることが,この理由として考
えられる。従前の利用主体である診断用 RI
並び,近年では核医学治療に供されるα線放出
核種にも注目が集まり,放射線セラノスティク
スの開拓を目指した利用及び利用を希望すると
の回答の純増も顕著であった。本分野におけ
RI の利用が核医学診断・治療の実践と同義
であることに鑑みれば,今後も核医学の発展に
比例して利用件数の増加が見込まれ,本分野が
RI 利用における強力な推進力の一つとして作
用することに疑いはないだろう。
本アンケートにおける関心上位の具体例と
して,211At20 ), 225Ac16 ), 111In14 ),
123I13 件)及び 177Lu68Ge/68Ga(同数 11 )が
並び,新興のα核種2種と多くの利用実績が
ある電子捕獲核種2種,新たに登場した治療
β核種とジェネレータの利用が切望されてい
PET 用核種が続く結果となった。周知のよ
に,111In 及び123ISPECT・ガンマカメラ
用線源として臨床・非臨床を問わず利用され
ており,新規標識化合物開発のパートナーと
して理想的な RI と考えられる。また,211At
225Ac α線創薬の筆頭候補 RI であり,本結果
は実利用形態や利用希望の増加が具体的な数値
として表れたものと考えられる。177Lu 68Ga
は欧米諸国で既に多くの利用実績があり,今
後我が国でも利用数の増加に疑いの無い RI
ある。さらに,診断系111In3+68Ga3+と治療系
225Ac3+177Lu3+,同様にハロゲン同士の123I
211Atの関係は放射線セラノスティクスの実践
におけるペア RI としても成立し,これらは今
後本利用形態が盛んになっていることの現れと
考えられ,大変興味深い。
上述した最上位の関心核種群に次ぐ RI とし
156 Vol. 73, No. 2
RADIOISOTOPES
て,99Mo/99mTc64Cu68Ga3H89Zr67Cu
137Cs32Pが回答された(それぞれ 94件)。こ
れらは in vivo/in vitro,診断/治療,新旧織り
交ぜた RI 群であり,以前から現在に至るまで
核医学を実際にけん引している核種群と評価し
た。これら以外にも回答件数 13件の RI 25
種類集計されたが,α線治療に供する RI(上記
211At225Ac のほか
211Rn/211 At212Pb213Bi
223Ra224Ra227Th,及び 252Cfがほぼ網羅され
る回答が得られたことを特記したい。実際の利
用を検討する場合,多くの障害があるα核種で
あるが,既に放射性医薬品をデザイン,調製す
る際の選択肢として,その応用が検討される時
代になったといえる。
興味・関心と共に,当該 RI に関する実際の
利用可能性という視点は,利用推進を検討する
上で重要な要素になる。例えば上記の治療用核
種である2 11At225Ac177Lu PET 68Ge/68Ga
等は,自施設に非密封 RI としての使用許可が
なく利用に制限があるとする回答例が多かっ
た。その代替策として,当該許可を有する他施
設を利用する回答例も少なからず見られた。規
(使用許可核種・量)に起因する課題解決は
容易ではなく,常的な情報交換の場でも多くの
施設から聞こえてくる典型的な RI 特有の課題
といえる。
新興 RI の場合,その利用関心度の高まりに
呼応するように,現状に満足していない回答数
が増加することが当然の傾向として予見され
る。そこで,回答内容の絶対数と共に割合評価
を加えることで,利用環境の満足度に関する評
価を試みた。具体的には,上に挙げた関心が最
も高かった6種のRI211At225Ac111In123I
68Ge/68Ga177Lu,並びに調査対象とした全 RI
67 種)の利用状況4択;Fig. 5 参照)につい
て,それぞれの回答総数に占める各選択割合を
求めた。全 RI の評価は,現在の医療用 RI をと
りまく平均的な姿を推量する指標とした。上記
6種の RI それぞれの回答を全核種の平均値と
比較することで,当該 RI の現況が俯瞰できる
ことを期待したいFig. 5,件数= 回答数)
ある RI の利用要望が高まるときの状況を
考えてみると1少数の施設が利用を開始
,( 2徐々に追従する施設・使用者が増加し
た結果,3多くの施設が利用可能となる,と
いった時系列の変化が予期される。状態1)は
本調査のような回答型式からは抽出が難しいと
思われるが,過渡期である状態2は,自施設
利用数よりも利用希望数(自施設利用不可)
上回ると考えられ,本調査で抽出・注目され
やすい対象といえるだろう。状態3への推移
は自施設利用数の飽和,すなわち,希少種だっ
Fig. 5 Utilization surveys on highly-interested radioisotopes used in medicine and pharmacy.
157Jul. (公社)日本アイソトープ協会理工・他:2021 年度 RI 利用者アンケート調査報告書
たものが一般化し,普及したことを意味する。
従って,興味対象としてのインパクトが減少す
る結果,回答絶対数は減少する可能性はある
が,利用環境については,回答割合を元に抽出
可能と思われる。
評価対象のうち新興4種の RI について,国
内で利用希望が興り,実際の入手性が整った順
序を考えてみると,まず211 At,次いで225Ac
68Ge/68Ga,直近で177Lu が選択される妥当性
には賛同が得られるように思う。それぞれの
RI について,自施設利用・他施設利用・利用
不可能の割合を平均のそれと比較してみると,
最も早く利用希望が興った211At に関する自施
設利用及び利用不可能の割合は,共に平均的な
RI とほぼ同様の水準であった。国内における
治療用 RI の筆頭と目される211At は,既に利用
希望のある施設,あるいは利用希望者の半数で
実践がなされていると評価できる。一方,これ
から利用の増加が予期される225Ac68Ge/68Ga
及び177Lu では,自施設利用の割合が依然とし
て平均よりも低く,対照として,整備済み RI
群とみなせる123I111In が示す自施設利用の割
合は平均値を上回っていた。現在使用できない
割合の高さは,期待度の高さを反映しているも
のと考えられる。特に68Ge/68Ga ジェネレータ
は市販流通品が非常に高価であり,利用動機を
減弱させ利用機会の低下を招いている。この状
況に対し,加速器を利用した68Ga の院内直接
製法が実践的な検討段階にあり,68Ga の単独利
用が今後評価されていく可能性が高い。177Lu
は,臨床薬剤の導入が契機となって利用が始
まったという理解から,研究用途としての利用
も今後急激に増加していくと考えることが妥当
であり,いわゆるホットラボにおける177Lu
整備状況は,世の状況を反映した結果と評価し
た。また短寿命 RI 供給プラットフォームのよ
うな RI 供給体制の発展により,多様な RI の利
用機会が増加することも考えられる。
今回の調査結果が,個々の RI が持つ有用
性・利便性を元に,継続的な利用実績を反映し
たものであるならば,本稿で検討した絶対数と
回答割合を組み合わせる手法は,RI の利用推
進を概観でき,新興 RI が普及していく傾向を
評価する指針になり得ると考えた。
45 工学
2019 年度 RI 製造・利用調査1
においては工
学分野において RI 利用に関する独自の研究は
ほとんど見当たらなかった。一方で,物理学
化学,植物学,医学・薬学の研究を支える工
学的な開発研究は広く行われていた。本アン
ケートにおいて工学分野において関心ある RI
に関する回答は24 核種43 件であった。このう
ち医療に関連した用途を含むと考えられる RI
211At5 ), 99Mo/99mTc4 ), 224Ra2 ),
225Ac2 ), 18F1 ), 67Cu1 ), 76Br1 ),
77Br1 ), 212Pb1 )の 9核種 18 件を占め関
心の高さを窺わせた。211At は我が国において
も医療応用に向けた研究が活発であり,医師主
導治験も開始されている6
。工学分野では,最
近の211At 225Ac を含むα線核医学治療におけ
る体内のα核種の体内分布を把握するため,イ
メージング技術の開発が進められている。ま
た,α線核医学治療に伴う体内被ばくの推定技
術や放射線防護技術が発展している。また,そ
のほかの研究用途としては,製造技術開発があ
る。99Mo は供給不足を発端として加速器製造
を含む国産化について検討され,比較的供給が
安定している現在でも研究が継続されているこ
とが窺える。また,99Mo/99mTc 224Ra/212Pb
ジェネレータとして利用され,これに関連した
研究利用は化学分野が中心と考えられるが,関
連した工学的な技術開発もあると思われる。な
お,133m,gBa の希望が1件あった。従来半減期
10 年の133Ba は産業利用があるが,半減期約
9時間の133mBa の医療応用に向けた研究利用の
例もあった6
このほか,関心ある RI として中性子源とし
ての252Cf,及び3H57Co60Co137Cs152Eu
22Na119mSn85Sr があった。57Co 及び 119mSn
158 Vol. 73, No. 2
RADIOISOTOPES
メスバウア研究利用。22Na は陽電子消滅寿命
測定でのニーズがある。22Na PET 装置に関
連した利用例もあり,いずれも密封線源として
の利用が想定される。本調査ではその多くが非
密封線源の利用に関心が集まったが,工学及び
物理学分野では,密封線源の一定の利用ニーズ
があることが窺えた。
46 環境科学
本分野からの回答件数は
137Cs 7件,
229Th 2件,211At225Ac85Sr236gNp47Sc
90Sr43K134Cs239Pu131I60Co は各1件で
あった。137Cs 7件のうち,3件は化学2
は農学を併せて専門とする回答者からの回答で
あった。4·2化学の節でも考察したが137Cs
134Cs85Sr90Sr 並びに131I,東京電力福島
第一原子力発電所事故で環境中に放出された
137Cs90Sr 並びに131Iの環境動態の解明や除
染技術開発のためのトレーサとして利用され
る。229Th 2件の回答者は,化学や医学・薬
学も専門としており,孫核種225Ac の製造開発
や核医学治療研究に用いられていると推測し
た。同様に211At225Ac 47Sc は,回答者が環
境科学と併せて選択した医学・薬学の立場か
らの関心と考えられる。4·2化学の節で述べた
が,236gNp は,加速器質量分析法による環境中
237Np 分析において収率トレーサとしての利
用がある。239Pu は,やはり環境中の Pu の動態
を実験室内で調べるためのトレーサとしての利
用が考えられる。43Kの回答者は,環境科学と
併せて農学を専門にしていることから,Kのト
レーサとして植物学の研究に利用していること
が窺える。詳細は43農学の節を参照いた
だきたい。60Co は,環境科学と地球惑星科学
を専門とする回答者からの回答であった。今回
収集した情報から60Co の用途を推測すること
は困難であった。
47 その他の分野
今回のアンケート調査では,回答者の専門
分野を,「物理学」「化学」「農学」「医学・
薬学」「工学」「環境科学」から選択できる
ようにした。しかし,これらに当てはまらな
い場合は,「その他」を選び,専門を自由記入
することとなる。その他の筆頭分野は生物学
であり,4名から137Cs4 ), 3H2 ), 32P
2 ), 35S2 ), 123I1 ), 14C1 ), 33P1
), 40K1件)への関心が寄せられた。137Cs
を除いたすべての RI は,生物に必須の元素の
トレーサである。137Cs は,放射線の生物学的
影響評価あるいは Kの代替トレーサとして用
途が考えられる。その他,地球惑星科学分野か
60Co1件),分析科学から89Zr1 ), 225Ac
1 ), 123I1件),放射線管理から 99Mo/99mTc
1件),診療放射線技術科学から59Fe1 ),
51Cr1件),栄養学から62Zn/62Cu1件)の回答
があった。
5. おわりに
本アンケート調査では,2019 年度 RI 造・
利用調査で明らかとなった RI 利用の現状並び
に我が国の RI 利用者が関心を持っている RI
ついて意識調査を実施した。物理学,化学,農
学,医学・薬学,工学,環境科学,その他の分
野別に調査結果を分析した。本調査では,医
学・薬学及びこれらに関連した利用ニーズが特
に多く寄せられた。さらに,利用希望はある
が,自施設での使用の制約等により利用に至っ
ていない核種も明らかになった。RI 利用推進委
員会では,このような潜在的ニーズに対して
RI 製造者との橋渡しとしての役割を果たせるよ
うに,今回のアンケート結果を活用したい。
文献
1) (公社)日本アイソトープ協会理工・ライフサ
イエンス部会 RI 利用推進専門委員会,2019
RI 製造・利用調査報告書,RADIOISOTOPES,
70, 251–260 (2021)
2) 永津弘太郎,標的アルファ線治療TAT の実
用化に向けて,Jpn. J. Health Phys., 57, 133–139
(2022)
159Jul. (公社)日本アイソトープ協会理工・他:2021 年度 RI 利用者アンケート調査報告書
3) 日本アイソトープ協会取扱核種一覧https://j-
ram.org/nuclide/
4) 2022 年度文部科学省科学研究費助成事業学術変
革領域研究(学術研究支援基盤形成)「短寿命 RI
供給プラットフォーム」https://www.rcnp.osaka-
u.ac.jp/~ripf/
5) 豊嶋厚史,篠原 厚,アスタチンAtの核化
学,RADIOISOTOPES, 67, 461–469 (2018)
6) Reissig, F., Kopka, K. and Mamat, C., The impact
of barium isotopes in radiopharmacy and nuclear
medicine – From past to presence, Nucl. Med. Biol.,
9899, 59–68 (2021)
Abstract
Survey Report of Radioisotope Production and
Application in 2022
Expert Committee on Promotion of RI Utilization Sci-
ence and Engineering/Life Science Committee, Japan
Radioisotope Association
,
The Expert Committee on Promotion of RI Utilization,
Science and Engineering/Life Science Committee, Japan
Radioisotope Association, conducted a survey of domestic
usersʼ attitudes toward radioisotopes (RIs) in the fiscal year
2021. This paper reports the results of the survey, analyzes
the results, and discusses the future promotion of RI utiliza-
tion in Japan.
ResearchGate has not been able to resolve any citations for this publication.
Article
With the exception of beryllium, divalent cations of every alkaline earth metal are characterized by their calcimimetic behavior. Thus, in vivo biodistribution of these cations mostly occurs in form of a massive accumulation in bone tissues, consisting of hydroxyapatite to a major extent. Apart from the lightest elements beryllium and magnesium, animal studies and human studies regarding the overall in vivo behavior were carried out by using radioisotopes of the elements calcium, strontium, barium and radium. To date, only strontium with its radioisotopes and radium gained importance for applications in nuclear medicine, mainly for pain-reducing and palliative treatment of bone metastases. In contrast, barium radioisotopes can be ascertained as useful imaging agents and possible diagnostic analogues for theranostic approaches. This review focuses on the characteristic and chemical behavior of barium compounds, possible radioactive barium isotopes for future applications in nuclear medicine and radiopharmacy as well as recent results regarding barium-131 as diagnostic match for radium isotopes used in targeted alpha therapy.
Article
In recent decades, nuclear-medicine research for targeted alpha therapy (TAT) using astatine-211 (At-211) is vigorously carried out. In this paper, nuclear and radiochemical techniques applied for the TAT using At-211 such as its production and separation methods are described. Recent studies for fundamental chemistry of astatine are also briefly introduced.